昔に比べるとネズミを見かける機会は減少しましたが、現在でも飲食店や集合住宅など、人が住むエリアに数多くのネズミが生息しています。
ネズミは病原菌を有している害獣であるため、建物内で見つけた際は駆除だけでなく、侵入させないための対策が不可欠です。
本記事では、ネズミが発生したときの駆除方法と、ネズミを寄り付かせなくするためのポイントについて解説します。
害獣:ネズミとは?
日本には10種類ほどのネズミが生息していますが、害獣として対策をしなければならない主なネズミは、次の3種類です。
ドブネズミ
ドブネズミは、一般的に害獣としてイメージされやすいネズミです。
全長は20cm〜25cmと、日本で生息するネズミの中では比較的大柄で、名前の通り排水溝や水回りなどを主な生息地としています。
壁に1cm程度の穴があれば、かじって侵入口を確保することもありますし、泳ぎが得意で水に濡れている状態でも行動できることから、排水溝も侵入経路の一つです。
飲食店で食材をかじられれば、経済的損失が生じるだけでなく、衛生面の懸念も出てきますので、ネズミ対策の重要度は高いです。
クマネズミ
クマネズミは、天井裏や壁内部の空間などに住んでいるネズミです。
全長は15cm〜22cmと、ドブネズミに比べるとやや小ぶりであるため、隙間から屋内に侵入することが多いです。
ネズミは基本的に雑食ですが、クマネズミは雑穀を好む傾向にあります。
家の中に巣を作るため、天井や屋根裏に物音がするようになった場合、クマネズミが住みついていることも想定しなければなりません。
綱渡りを得意とする運動能力があり、パイプや電気コードを伝って移動することもできるため、高層階にも出没します。
そのため、ネズミ対策は平屋や低層階だけでなく、ビルなどの建物においても実施することが求められます。
ハツカネズミ
ハツカネズミは、主に郊外で生息しているネズミです。
全長は5cm〜10cmと非常に小柄で、普段は草むらや畑などに生息しています。
ハツカネズミも雑穀を好む傾向にあり、気温の低下で餌が少なくなる時期になると、建物に侵入して活動するようになります。
小柄であるため、僅かな隙間から侵入するのも容易ですし、20日程度の妊娠期間で平均5〜6匹の子どもを産むなど、繁殖力が高いのも特徴です。
ネズミがもたらす害とは?
ネズミの被害は、衛生的被害・都市機能被害・経済的被害の3つです。
衛生的被害は、感染症や皮膚炎など、人体に直接影響する被害をいい、飲食店だけでなく集合住宅などで生活している方々も注意すべき損害です。
都市機能被害は、ネズミがコード等をかじることで生じる停電や、火災・ガスの爆発事故、信号トラブルによる交通関係の被害などがあります。
経済的損害は、コード等をかじることで設備が破損する損害や、火災等による損害、商品の汚損による損害があり、経営者や不動産所有者は特に気を付けなければなりません。
ネズミがかじった商品は価値が失われますし、食品については衛生上の観点から廃棄処分を余儀なくされます。
また、ネズミを発見した時点で異物混入リスクも生じますので、ネズミ対策を講じないと多大な損害を被ることになります。
ネズミの病原菌とは?
ネズミによる被害で特に気を付けないといけないのが、ネズミが持つ病原菌による衛生的被害です。
ネズミがもたらす感染症とは
感染症は人同士だけでなく、動物から人に感染するものも存在します。
人と人以外の脊椎動物の両方に感染する可能性がある病原体による疾病を「人獣共通感染症」、動物から人に広がる感染症を「動物由来感染症」といいます。
ネズミは動物由来感染症の重要な宿主であり、日本にいるネズミから感染する可能性がある感染症には次のようなものがあります。
ウイルス・リケッチア |
---|
リンパ球性脈絡髄膜炎、腎症候性出血熱、Q熱、発疹熱、E型肝炎(ツツガムシ病) |
細菌 |
鼠咬症、パスツレラ症、エルシニア症、 リステリア症、ブドウ球菌感染症、 レンサ球菌感染症、野兎病、類丹毒、 カンピロバクター症、アルコバクター症、レプトスピラ症、ペスト、サルモネラ症 |
真菌 |
皮膚糸状菌症 |
原虫・蠕虫 |
クリプトスポリジウム症、 広東住血線虫症、縮小条虫症、 小型条虫症、肝吸虫症 |
ネズミから人に感染する経路
ネズミから人に感染症が伝播する方法は様々で、直接的な感染だけでなく、間接的に感染することもあるので注意してください。
<感染症の伝播経路と感染症の種類>
伝播経路 | 主な感染症 |
---|---|
・ネズミに咬まれる | ・鼠咬症 |
・ネズミの体に 直接触る |
・皮膚糸状菌症 |
・ネズミの排泄物に 直接触る |
・腎症候性出血熱 ・クリプトスポリジウム症 ・サルモネラ症 ・レプトスピラ症 |
・ネズミの糞や尿中に排泄された病原体が水や土壌を介して感染 | ・クリプトスポリジウム症 ・レプトスピラ症 |
・ネズミの糞や尿中に排泄された病原体が食品等を介して 感染 |
・サルモネラ症 |
・ノミ、ダニなどの病原体を持つ 節足動物を介しての 感染 |
・ペスト ・つつがむし病 |
・ナメクジなどの 中間宿主を介しての 感染 |
・広東住血線虫症 |
ネズミが引き起こす皮膚炎
ネズミから引き起こされる代表的な皮膚炎は、イエダニによる刺咬(しこう)です。
イエダニはネズミに外部寄生しているダニで、ドブネズミやクマネズミに多数寄生しており、刺咬されると激しい痒みと皮疹を引き起こします。
暖かい環境を好むため、春と秋が発生のピークでしたが、建物内は温度が一定以上に保たれることから、近年では季節を問わず刺咬被害が発生しています。
イエダニの被害を受けないためには、ネズミを建物内に侵入させないことが大切です。
ネズミの巣内にイエダニが大発生した後に巣からネズミがいなくなった場合、イエダニは吸血源を求めて移動し、人を吸血するようになるので気を付けなければなりません。
ネズミの通り道・侵入経路の
見つけ方
ネズミの駆除作業は、侵入経路を特定しないと効果が薄れますので、建物内にいるネズミの見つけ方をご紹介します。
糞
動物の糞(フン)は、行動範囲を確認するために重要な情報です。
ネズミは特定の場所で糞をする習性はなく、行動している最中に糞をすることから、糞がある場所が通り道となっていることが多いです。
生活圏で見かけるドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの糞には特徴があるため、残っている糞から生息する種類を特定することもできます。
糞が集中している場所はネズミが住み家としている場所なので、糞を見つけた際は早急に駆除をしなければなりません。
糞尿のシミ
屋根裏などに生息しているネズミはその場で糞尿をするため、シミのような跡が残ります。
雨漏りでシミができることも考えられますが、3cm〜7cm程度のシミについてはネズミの糞尿による形跡の可能性があるので注意してください。
足跡
ネズミには尻尾があるため、足跡と尻尾を引きずった形跡から存在を確認することができます。
足跡は数ミリ程度の細い線で、埃が積もっている場所をネズミが通過すると痕跡が残ります。
本格的に調査する際は、地面に小麦粉や重曹をまくことで足跡を確認しやすくなりますので、経路を確認するときは足跡もチェックしてください。
かじった形跡
ネズミは発達した前歯で壁や食べ物をかじりますので、柱や壁、食材にかじった痕跡があるか確認してください。
屋根裏にネズミが生息している場合、かじった木くずが落ちていることもありますし、外から侵入する際に穴をかじって広げることもあります。
そのため、ネズミの侵入経路を探すときは隙間の有無だけでなく、かじられた穴の有無も調べてください。
家や飲食店にネズミが
来なくなる方法
ネズミの侵入を防ぐためには、ネズミが住みにくい環境を整えることが大切です。
侵入経路を特定して塞ぐ
ネズミを家や飲食店に来なくするためには、物理的に侵入できなくすることが肝要です。
侵入できる隙間があれば入ってきますので、金網や防獣ネットを設置して侵入を阻止してください。
建物の老朽化などにより隙間が生じているときは、穴埋めパテなどで穴を塞いでいただき、屋根裏など自身で作業するのが難しい場所については、業者に依頼して修繕してください。
忌避剤をまく
ネズミを来なくする方法として、忌避剤をまくのも効果があります。
忌避剤には燻煙タイプやスプレータイプがあり、場所や目的に応じて使い分けてください。
薬品を使いにくい場所については、自然由来の忌避剤としてハーブ類もオススメです。
ハッカ油は人間には無害ですが、ネズミにとっては強力な臭いとなるため、定期的に散布することで近寄らせない環境を構築できます。
ただし、ハッカ油はペットにも毒となってしまうので、動物がいる環境で使用するのは控えてください。
建物内の掃除
ネズミはゴミなどがある場所を好むため、整理整頓するだけでもネズミの被害を抑えられます。
ネズミは雑食ですし、少量の餌で生き抜くことができる強い生命力がありますので、食材の管理はもちろんのこと、ゴミ箱に蓋をしてゴミを食べられないような工夫をしてください。
厨房などにおいては、泡式洗浄殺菌清掃でフロアをキレイにする方法もあります。
泡式洗浄殺菌清掃であれば、難しい棚や冷蔵庫下・裏側もキレイにできるだけでなく、食中毒の原因となる菌なども除去できます。
日々の掃除でキレイにしているつもりでも、床面には汚れが蓄積していますので、念入りに汚れや菌を取り除いてください。
ネズミの効果的な駆除・退治・撃退方法
ネズミの被害を食い止めるためには、建物全体で対策を講じることが肝となります。
侵入経路の特定
繁殖能力の高いネズミもいますが、基本的には外部から侵入してきますので、ネズミを駆除する際は、最初に侵入経路を特定します。
換気扇や通気口だけでなく、シャッターや軒下などの隙間も侵入経路となりますので、色々な角度から出入口となっている場所を調べます。
建物からの追い出し作業
ネズミの存在や侵入経路を特定できましたら、そのエリアを中心に追い出し作業を行います。
主に忌避剤を使用して追い出すことになりますが、一度追い出しても忌避剤の効果が無くなれば戻ってきますので、ネズミを寄せ付けない対策も一緒に実施してください。
トラップを仕掛ける
ネズミを追い出したら、侵入してきたネズミを撃退するためのトラップを仕掛けます。
トラップには、毒エサを使って撃退するベイト工法や、捕獲器や粘着シートを使用した方法などがあり、ネズミの種類や建物の構造等によって設置するトラップを選択してください。
ネズミが寄り付かない環境の構築
建物内のネズミを駆除した後は、ネズミが再度侵入しないような環境を整えます。
ネズミは鼻が敏感なので、餌の臭いがするだけで侵入してくる可能性があります。
餌となる汚れやゴミを除去すれば、ネズミが建物に侵入するうま味がなくなるため、基本的な対策も大切です。
また、ネズミを寄せ付けない方法としては、防鼠工事も効果的です。
配管の隙間などは、ネズミがかじって侵入できる大きさまで穴を拡大させることもあるので、物理的に侵入を防ぐ工事を実施して出入口を塞いでください。
ネズミの駆除はプロにお任せ!
飲食店や集合住宅などのネズミ対策は、名鉄クリーニングにお任せください。
名鉄クリーニングはトラップ法や喫食調査、暗視カメラなどによる調査をした後に、状況に応じた施工を実施することでネズミを徹底的に駆除します。
駆除費用の見積もりは無料ですし、料金に納得できなければキャンセルしていただいても大丈夫です。
料金は後払いとなっていますので、ネズミを早急に駆除したい場合でも安心です。
ネズミ以外の害獣や害虫の駆除も実施していますので、ご不明点がありましたら、一度名鉄クリーニングにお問い合わせください。