
ユニフォームのクリーニング代を、毎月どの勘定科目で処理していますか。
福利厚生費でよいのか外注費なのか、担当者が代わるたびに処理が揺れてしまうという声は少なくありません。
そして実は、科目選びよりも「その費用が従業員への給与とみなされないか」という論点のほうが、税務上のリスクは大きくなります。
本記事では、法人がユニフォームのクリーニング代を処理する際の勘定科目、ケース別の仕訳例、税務上の注意点、そして国税庁が示す給与課税の線引きまでを整理して解説します。
ユニフォームのクリーニング代に使う勘定科目は主に5つ
ユニフォームのクリーニング代について、この科目を使わなければならないという法律上の決まりはありません。
判断のポイントは、誰のための費用か、どのくらいの頻度と金額で発生するか、という2点です。
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| 勘定科目 | 主な意味 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 福利厚生費 | 従業員の労働環境を整えるための費用 | 会社が費用を負担し、 対象者が公平に決まっている |
| 外注費 | 業務の一部を外部に委託する費用 | クリーニング業者と契約し、 継続的に委託している |
| 衛生費 | 衛生管理のために支出する費用 | 飲食店や医療機関で リネン類とまとめて管理する |
| 雑費 | 他の科目に当てはまらない少額の費用 | 年に数回程度で、 金額も小さい |
| クリーニング費 | 洗濯関連費用を独立させた科目 | 件数・金額が大きく、 単独で推移を把握したい |
実務でよく選ばれるのは福利厚生費です。
業務で着るユニフォームを会社の負担で清潔に保つ費用は、職場全体の労働環境を整えるための支出にあたると考えられるためです。
ただし金額が大きい場合や部門別に把握したい場合は、外注費やクリーニング費として独立させると管理しやすくなります。
福利厚生費:会社が負担し、対象者が公平なとき
最も一般的な処理が福利厚生費です。
判断の分かれ目は、特定の人だけが恩恵を受ける形になっていないかどうかにあります。
たとえば役員のスーツだけを会社の費用でクリーニングしているケースは、福利厚生費ではなく役員給与とみなされる可能性があります。
外注費・衛生費:業者へ継続的に委託するとき
クリーニング業者と契約し、回収から洗浄・納品までを任せている場合は、外注費として処理する方法もあります。
飲食店や医療機関のように、ユニフォームとおしぼり・タオル・シーツなどを同じ業者にまとめて依頼している場合は、衛生費でくくると衛生管理コストの全体像をつかみやすくなります。
勘定科目の名称そのもので税務上の取扱いが決まるわけではないため、自社の管理目的に合うほうを選んで構いません。
雑費・クリーニング費:発生頻度と金額で使い分ける
発生が年に数回で金額も小さいなら、雑費で処理しても問題ありませんが、雑費が膨らむと決算書を見たときに中身が分からなくなります。
反対に、多店舗展開などで毎月まとまった金額が動く場合は、クリーニング費という独立科目を設ける方法もあります。
勘定科目は決められたものだけを使う必要はなく、実態に合った名称を自社で設定できます。
ケース別の仕訳例|一括請求・立替精算・製造原価
同じクリーニング代でも、誰がいつ支払ったかによって仕訳の形は変わります。
実務で頻度の高い3つのパターンを見ていきましょう。
※金額はいずれも仕訳の形を示すための例です。
業者からの月次一括請求を支払ったとき
クリーニング業者から月末締めで請求書を受け取り、翌月に口座振替で支払うケースです。
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| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 4月30日 | 福利厚生費 30,000円 |
未払金 30,000円 |
4月分ユニフォームクリーニング |
| 5月31日 | 未払金 30,000円 |
普通預金 30,000円 |
4月分クリーニング代支払 |
サービスを受けた月に費用を計上するのが原則です。
請求書の締め日と支払日がずれる場合は、いったん未払金で受けてから支払時に消し込むことで、月ごとの費用が正しく並びます。
従業員の立替分を精算したとき
従業員が自分で店舗へ持ち込み、後日経費精算するケースです。
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| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 5月20日 | 福利厚生費 1,200円 |
現金 1,200円 |
制服クリーニング代立替精算 |
この処理で注意したいのが証憑(しょうひょう)です。
領収書に個人名しか残っていないと業務用か私物かが後から判別できないため、精算書に対象アイテムと着用者を書き添えておくと、税務調査の際にも説明しやすくなります。
製造現場の作業着は製造原価に含めることもある
製造業では、工場で働く従業員の作業着のクリーニング代を製造経費として原価に含める処理も行われます。
製造部門で発生する間接費として、製品の原価に組み入れるという考え方です。
一方、本社の事務スタッフが着る制服であれば販売費及び一般管理費に入るため、同じ社内でもどこで働く従業員の分かによって計上先が分かれます。
クリーニング代を経費にするときの税務上の注意点
会社が支払ったからといって、すべてが同じルールで処理できるわけではありません。
法人税・所得税・消費税では見るポイントが異なるため、次の3点を分けて考えると整理しやすくなります。
費用にできるかは業務に必要な衣類かどうかで決まる
費用として認められるのは、あくまで業務のために着用する衣類のクリーニング代です。
私服としても着られるスーツやジャケットは、原則として対象になりません。
社名やロゴが入っている、指定のデザインである、その現場でしか着用しないといった事情があるほど、業務用であることを説明しやすくなります。
対象者が偏っていると給与として扱われる
一部の役員や特定の社員だけを対象にすると、福利厚生費ではなく給与として扱われる可能性が高まります。
全従業員、あるいは一定の職務に従事する従業員の全員を対象とする社内ルールにしておきましょう。
給与課税の具体的な線引きについては、次の章で詳しく見ていきます。
仕入税額控除を受けるには適格請求書の保存が必要
消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として登録番号が記載された適格請求書と帳簿の保存が必要です。
これは消費税の要件であり、適格請求書がないことがそのまま費用に計上できないことを意味するわけではありません。
業者と契約する際は、適格請求書発行事業者かどうかをあらかじめ確認しておきましょう。
給与課税されないための線引き|国税庁が示す制服の要件
勘定科目の選択よりも税務リスクが大きいのが、給与課税の論点です。
会社が負担した衣類関連の費用が現物給与とみなされると、源泉徴収の対象になります。
国税庁は、非課税となる制服等の範囲について具体的な考え方を示しています。
非課税とされる事務服・作業服の判断ポイント
国税庁の質疑応答事例では、事務服や作業服の支給が非課税とされるために必要な条件として、次の2点が挙げられています。
- ・勤務する場所で通常の職務を行う上で着用し、私用には着用しない、または着用できないこと
- ・その職場に属する者の全員、または一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われること
さらに厳格にいえば、着用している人が一見して特定の職員、または特定の雇用主の従業員であると判別できることも必要だとされています。
制服等の支給が非課税とされているのは、それが従業員に特別な利益を与えるものではなく、本来は使用者が負担すべき費用だと考えられているためです。
この考え方を踏まえると、上記に当てはまるユニフォームを会社の判断で清潔に保つための費用も、従業員への給与とはみなされにくいと整理できます。
背広など私服として着られる服は給与課税の対象
同じ質疑応答事例では、背広など私服としても着用できるものを制服として支給する場合、非課税とされる制服等には当たらず、給与等として源泉徴収をする必要があるとされています。
スーツ勤務の職場で、いわゆる制服扱いとしてクリーニング代を会社負担にしている場合は注意が必要です。
営業職のスーツを一律に会社負担とするのではなく、ロゴ入りのシャツやジャンパーなど業務用と判別できるアイテムに絞ると、指摘を受けるリスクを抑えられます。
従業員負担にするなら就業規則と労使協定を確認する
クリーニング代を従業員に負担させる運用も可能ですが、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則にそのルールを定めておく必要があります。
さらに給与から天引きする形にする場合は、原則として労使協定の締結が必要です。
負担区分の決め方や天引きの手続きについては、以下のコラムで詳しく解説しています。
経理処理の手間を減らす運用の工夫
勘定科目で迷う時間は、日々の運用を整えることで大きく減らせます。
ここでは、経理と現場の双方が楽になる2つのポイントを紹介します。
勘定科目は一度決めたら継続して使う
同じ内容の支出なのに月によって福利厚生費だったり雑費だったりすると、期間比較ができなくなります。
会計処理は継続して同じ方法を用いることが原則であり、いったん決めた科目は特別な理由がない限り変更しません。
「ユニフォームのクリーニング代は福利厚生費」といった形で経理規程やマニュアルに明記しておくと、社内で判断が揺れずに済みます。
業者への一括委託で仕訳と証憑を1本化する
立替精算が積み上がると、少額の仕訳が何十件も並び、領収書の管理も煩雑になります。
回収から洗浄・納品までを1社にまとめれば、月1枚の請求書で処理が完結し、インボイス対応の確認も一度で済みます。
従業員による持ち帰り洗濯や個別の立替精算も減らせるため、衛生管理の水準を一定に保ちやすくなります。
名鉄クリーニングのユニフォームクリーニング|愛知県内の集配と月次請求
名鉄クリーニングでは、名古屋市・豊田市・春日井市・岡崎市など愛知県内の企業向けに、ユニフォームの回収・洗浄・納品を一括で承っています。
クリーニング師19名が在籍し、素材や汚れの種類に応じた洗浄方法を選定しているため、作業着から事務服まで幅広く対応できます。
全商品に抗ウイルス・抗菌加工を実施しており、飲食店や医療・介護施設など衛生基準が求められる現場でもご利用いただけます。
定期回収は週2〜6回の範囲でご希望の運用に合わせて設定でき、月次でまとめて請求書を発行するため、請求と証憑の管理を集約しやすくなります。
ユニフォームのクリーニング代の勘定科目に関するよくある質問
最後に、経理担当者の方から寄せられることの多い質問をまとめました。
Q1. レンタルユニフォームの料金はどの勘定科目で処理しますか?
A:レンタル契約に基づく使用料であるため、賃借料やリース料が選択肢になります。
洗浄・交換・在庫管理までを含むサービス契約であれば、外注費や衛生費で処理することもあります。
契約内容に合わせて科目を決め、社内で統一して運用しましょう。
Q2. 従業員が自宅で洗濯した分に手当を支給した場合はどうなりますか?
A:定額の洗濯手当のように、実費と結びつかない金銭を支給する場合は、原則として給与として扱われます。
金銭での支給は、非課税とされる制服等の現物支給には当たらないためです。
給与課税を避けたい場合は、会社が業者へ直接支払う形にするほうが確実です。
Q3. ユニフォームの購入費とクリーニング代は同じ勘定科目にすべきですか?
A:必ずしも揃える必要はありません。
購入費は福利厚生費や消耗品費などで処理され、クリーニング代は福利厚生費や外注費で処理するのが一般的です。
社内で処理基準を決めておけば、科目が異なっていても問題ありません。
Q4. コインランドリーを使って領収書が出なかった場合はどうしますか?
A:税込3万円未満のコインランドリーの利用は、消費税法上の「自動サービス機」による取引にあたり、適格請求書の交付義務が免除されています。
この場合は、必要事項を記載した帳簿を保存することで仕入税額控除を受けられます。
社内の精算では、日付・金額・利用目的・対象のユニフォームを記録した出金伝票を残しておくと確認しやすくなります。

