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介護施設の清掃マニュアル|居室・浴室・共用部の清掃頻度と衛生管理

2026.07.31

介護施設の清掃マニュアル|居室・浴室・共用部の清掃頻度と衛生管理

「消毒すればするほど衛生的になる」と考えて、居室や共用部に消毒薬を吹きかけていないでしょうか。

実は厚生労働省のマニュアルには、消毒薬による消毒よりも目に見える埃や汚れを除去することを優先すべきだと明記されています。

介護施設の清掃で必要なのは、消毒薬の量ではなく「どこを、どのくらいの頻度で、どう清掃するか」を明文化することです。

本記事では厚生労働省の基準をもとに、居室・浴室・トイレ・共用部それぞれの清掃頻度と手順を一覧表で整理します

介護施設に清掃マニュアルが必要な3つの理由

介護施設の清掃は、見た目をきれいにする作業ではありません。

入居者の健康と生活の質、そして施設の信頼に直結する業務です。

なぜ手順の明文化が必要なのかを3点に整理します。

免疫力が低下した高齢者が集団で生活している

高齢者は加齢により免疫機能が低下しているため、健康な成人なら発症しない程度の病原体でも感染し、重症化しやすくなります。

そこに集団生活が重なると、ひとりの感染がフロア全体に広がるクラスターへ発展しかねません。

ノロウイルスやレジオネラ症は、いずれも環境整備の不備が引き金になり得る感染症です。

医療機関の清掃とは前提が違う「生活の場」である

病院は治療の場であり、患者の在室時間や動線をある程度コントロールできます。

一方の介護施設は、入居者が24時間過ごす生活の場です。

居室には私物が置かれ、日中は面会者や職員の往来も多く、まとまった作業時間を確保しにくくなります。

濡れた床による転倒リスクや認知症のある方への配慮も必要で、医療機関向けの手順はそのまま持ち込めません。

職員任せの清掃は品質がばらつく

介護現場では、介護職員が清掃業務を兼務しているケースが少なくありません。

しかし介護業務が立て込めば清掃は後回しになり、職員が入れ替われば手順の引き継ぎも途切れます。

清掃箇所と頻度を文書化しておけば、担当者が変わっても品質を維持できます。

清掃マニュアルの土台になる3つの基本原則

エリア別の手順を決める前に、全エリアに共通する原則を押さえる必要があります。

この原則を外したまま各エリアの手順を細かく決めても、現場では機能しません。

原則1|基本は湿式清掃。消毒薬は「必要なときだけ」

厚生労働省のマニュアルは、通常時の清掃について「湿式清掃を基本とします。消毒薬による清掃は必要ありません」と明記しています。

湿式清掃とは、固く絞ったモップや布で水拭きをして、埃を舞い上げずに取り除く方法です。

日常清掃で目指すのは消毒ではなく、この埃と汚れの物理的な除去になります。

同マニュアルはさらに、広範囲の拭き掃除へのアルコール製剤の使用や、室内環境でのアルコール・次亜塩素酸ナトリウム液の噴霧は、職員および入所者の健康被害につながるため行わないよう求めています。

噴霧では薬剤が呼吸器へ入るおそれがある一方、拭き取りを伴わないため消毒の効果自体も安定しません。

「念のため毎日スプレーしている」という運用は、衛生的どころか健康リスクを高めている可能性があります

原則2|高頻度接触面を優先して清拭する

限られた時間で感染リスクを下げるには、人の手が頻繁に触れる場所を優先する考え方が有効です。

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区分 該当する部位の例 目安の頻度
高頻度接触面 ドアノブ、ベッド柵、ナースコール、テレビやエアコンのリモコン、各種スイッチ、手すり、便座、テーブル、エレベーターのボタン 1日1回以上
(トイレなど汚染しやすい場所は1日数回)
低頻度接触面 床、壁、棚やタンスの表面、窓枠、照明器具、カーテンレール 1日1回の湿式清掃〜定期清掃

高頻度接触面は清拭してから次に触られるまでの時間が短いため、回数を確保することに意味があります。

この区分ができていない施設では、床だけは毎日きれいなのにベッド柵やリモコンには触れていない、という偏りが起こりやすくなります。

原則3|清掃用具のゾーニングと清掃順序

同じモップを居室とトイレで使い回していれば、清掃そのものが汚染を運ぶ作業になります。

厚生労働省のマニュアルは、トイレ・洗面所・汚染場所用と居室用のモップを区別して使用・保管し、汚染度の高いところを最後に清掃するよう求めています。

運用しやすいのは色分けで、青は居室のテーブル・ベッド柵・洗面台、赤はトイレと決めておけば取り違えが起きません。

拭き方にも原則があります。

清掃は部屋の奥から入口方向へ行い、拭き取りは一方向で進めます。

往復させると、いったん拾った汚れを再び塗り広げてしまうためです。

使用後のモップは洗浄したうえで十分に乾かします。

参考:厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版」

【エリア別】介護施設の清掃頻度一覧表

清掃マニュアルの核になるのは、エリアごとの頻度を明文化することです。

厚生労働省のマニュアルは、各所を原則1日1回以上湿式清掃し、換気を行って乾燥させることを基本としています。

加えて浴室や加湿器のように、週次・月次・年次の管理が必要な項目もあります。

※横にスクロールできます

エリア 日常(毎日) 週次 月次 年次
居室 床の湿式清掃1回以上、高頻度接触面の清拭、換気 寝具周りと収納の点検 窓・照明器具・エアコンのフィルター 床の定期清掃
(洗浄・ワックス)
トイレ・洗面所 床・便座・便器・ドアノブの清拭(1日数回)、手洗い設備の補充 排水口・ペーパーホルダーの洗浄 換気設備の清掃
浴室・脱衣室 脱衣室の清掃、床・浴槽・腰掛けの清掃、換水(非循環型)、残留塩素濃度の測定と記録 換水(循環型は1週間に1回以上)、ろ過器の逆洗と消毒 循環式浴槽の消毒
(毎日換水する場合)
浴槽水のレジオネラ属菌検査、循環配管の点検・洗浄、貯湯タンクの点検・洗浄
食堂・リビング テーブル・椅子の清拭(食事前後)、床の湿式清掃 床の洗浄 厨房設備・排気設備 床の定期清掃
廊下・階段・エレベーター 床の湿式清掃、手すり・ボタン・消火器周囲の清拭 階段の隅・巾木 窓枠・照明 床の定期清掃
機能訓練室 訓練器具の清拭、床の湿式清掃 マット類の洗浄 床の定期清掃
汚物処理室 使用ごとの洗浄・消毒、専用用具の乾燥 排水口・シンクの洗浄 換気設備
加湿器 タンク内の水の完全交換と清掃、乾燥 建物設備組込型は1か月に1回以上点検 少なくとも1年に1回以上の清掃

表の頻度は、汚染がない平常時を前提とした目安です。

実際の運用では、この一覧を自施設の見取り図に当てはめ、担当者と実施時刻まで書き込んだチェックリストに落とし込みます。

頻度は固定ではなく汚染状況で増やす

厚生労働省のマニュアルは、汚染がひどい場合や新たな汚染が発生しやすい場合には清掃回数を増やすことを求めています。

具体的には、失禁を伴う下痢のある入居者、咳や喀痰の多い入居者、嘔吐のある入居者がいる場合が該当します。

頻度表は下限であって上限ではないという前提を、マニュアル本文に書き込んでおきましょう。

 

居室の清掃|入居者の生活を妨げない手順と配慮

居室は施設の一部でありながら、入居者にとっては自宅そのものです。

効率だけを追うと生活を乱してしまうため、手順と配慮の両方をマニュアルに書き込む必要があります。

居室清掃の基本手順と在室中の配慮

清掃は汚染度の低いところから高いところへ、高い位置から低い位置へと進めます。

ごみの回収から始め、ベッド柵、テーブル、手すりやスイッチ、洗面台と高頻度接触面を順に清拭し、最後に床を部屋の奥から入口方向へ湿式清掃して乾拭きと換気で仕上げます。

床を最初に掃除すると、その後に拭いた場所の埃が落ちて二度手間になるためです。

在室したまま清掃することも日常的にあるため、開始前には必ず声をかけます。

時間帯は起床・就寝・食事・リハビリを避けて設定し、水拭き後は乾拭きで水分を取って転倒を防ぎます。

私物・持ち込み家具はどこまで清掃するか

トラブルになりやすいのが、清掃範囲の線引きです。

無断で動かせば紛失や破損の疑いを招き、逆にまったく触らなければ埃が溜まっていきます。

「持ち込み家具の表面は拭くが、上に置かれた私物は動かさない」といった基準を文章として残し、外部委託する場合は仕様書にも反映させます。

浴室・脱衣室の清掃|レジオネラ属菌対策が最重要

介護施設の衛生管理で、最も具体的な数値基準が定められているのが浴室です。

レジオネラ属菌は、汚染された水から発生したエアロゾル(目に見えない細かな水滴)を吸い込むことで感染します。

施設内の感染源として多いのは循環式浴槽水、加湿器の水、給水・給湯水です。

毎日実施する衛生管理

厚生労働省のマニュアルは、毎日実施する項目として脱衣室の清掃、浴室内の床・浴槽・腰掛けの清掃、浴槽の換水、残留塩素濃度の測定の4点を挙げています。

換水の頻度は方式で異なり、非循環型は毎日、循環型は1週間に1回以上です。

見落とされやすいのは脱衣室で、床や棚、椅子は「濡れていないから」と後回しになりがちですが、毎日実施項目に含まれています。

残留塩素濃度は基準が0.2〜0.4mg/Lと定められており、時間を決めて測定し、結果を記録して3年間保管します

なお通常時の浴室清掃自体は、家庭の浴室と同様に洗剤で洗う方法で問題ありません。

定期的に実施する衛生管理

週次から年次の項目は、実施漏れが起きやすいところです。

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管理項目 実施頻度 補足
循環型浴槽のろ過器の逆洗・消毒 1週間に1回以上 ろ過器内に汚れが蓄積すると菌の増殖源になる
循環式浴槽の消毒 毎日完全に湯を入れ換える場合は1か月に1回以上 消毒には塩素消毒が適する
浴槽水のレジオネラ属菌検査 少なくとも年1回以上 検査結果は3年間保管。業者への委託も可能
浴槽・循環ろ過器・循環配管設備の点検(洗浄・消毒) 1年に1回以上 配管内部は目視できないため専門的な洗浄が必要
貯湯タンクの点検・洗浄 1年に1回以上 給湯水も感染源になり得る
自主点検の実施 定期的に チェックリストを作成して点検・確認する

年1回の検査や配管洗浄は、日常業務の延長では実施できません。

年間計画に組み込み、外部の専門業者へ委託する前提でスケジュールを立てるのが現実的です。

やってはいけない運用と福祉用具の洗浄

循環式浴槽では、浴槽水をシャワーや打たせ湯などに使用してはいけません。

循環している湯をシャワーから噴出させると、まさにエアロゾルを発生させることになり、感染リスクを大きく高めます。

長期間消毒されていない循環水を使うことも避けなければなりません。

シャワーチェアや機械浴槽も、複数の入居者が連続して使用するうえ常に濡れています。

座面の裏側やパイプの継ぎ目にぬめりが残りやすいため、使用後の洗浄と乾燥をセットで手順化します。

トイレ・汚物処理室の清掃と嘔吐物の処理手順

トイレと汚物処理室は、施設内で最も感染リスクが高いエリアです。

ここでの手順の甘さは、ノロウイルスなどの集団感染に直結します。

日常清掃と緊急時対応の両方を文書化しておく必要があります。

トイレの日常清掃で見落としやすい部位

便器と床は毎日清掃していても、抜けやすい部位があります。

代表的なのは、ウォシュレットの収納部分、便器と便座の隙間、ペーパーホルダーの裏側、手すりの下面です。

いずれも目線に入りにくく、かつ手や飛沫が届く場所のため、チェックリストに部位名を明記しておかないと担当者の判断で省略されていきます。

なおドアノブや取手については、厚生労働省のマニュアルが消毒用エタノールでの清拭と消毒を求めており、清掃のあとに消毒を重ねる二段構えの扱いです。

嘔吐物・排泄物の処理手順と希釈早見表

嘔吐物の処理は時間との勝負でありながら、手順を守らなければ感染を広げます。

防護具を着用して0.5%の次亜塩素酸ナトリウム液を用意し、ペーパータオルや布で外側から内側に向けて面を覆うように静かに拭き取ります。

外側から内側へ向かうのは、汚染範囲を広げないためです。

続いて消毒液でゆるく絞った使い捨ての布で床を広めに2回拭き、最後に確実に拭き取ってから密閉して廃棄し、手洗いと換気を行います。

押さえておきたいのが、ノロウイルスはアルコールによる消毒効果が弱いという点です。

厚生労働省のマニュアルも、アルコールのみの擦式消毒薬による手指衛生は有効ではないとしており、液体石けんと流水による手洗いと、塩素系消毒薬の併用が前提になります。

※横にスクロールできます

用途 濃度 希釈倍率 作り方の目安
便や吐物が付着した床、衣類などの漬け置き 0.1%
(1000ppm)
50倍 500mlの水に約10ml
(ペットボトルのキャップ2杯)
食器などの漬け置き、トイレの便座・ドアノブ・手すり・床 0.02%
(200ppm)
250倍 500mlの水に約2ml
(ペットボトルのキャップ半杯)

上記は市販の塩素系漂白剤(塩素濃度約5%)を使う場合の目安で、製品によって塩素濃度が異なるため使用前に必ず表示を確認してください。

キャップでの計量はあくまで緊急時の目安のため、平常時は計量カップや製品付属のキャップを使い、手指への付着や飛散を防ぎます。

なお、床や衣類に付着した嘔吐物・排泄物を直接処理する場面では、厚生労働省のマニュアルが0.5%での清拭を示しています。

上の表は仕上げの拭き取りや日常的な消毒に用いる濃度のため、混同しないよう場面ごとに分けて記載しておくと現場が迷いません。

この早見表を汚物処理室やトイレの壁に掲示し、その場で計算しなくても作れる状態にしておくことが緊急時の精度を左右します。

汚物処理室の管理

汚物処理室は、施設内の汚染が集まる場所です。

だからこそ、ここから外へ汚染を持ち出さない設計が必要になります。

専用のスリッパと清掃用具を置いて他エリアの用具と混在させないこと、使用ごとにシンクと床を洗浄・消毒して用具を乾燥させること。

この2点を最低ラインとして手順化します。

共用部・食堂・そして見落とされがちな加湿器

共用部は不特定多数が触れるため、感染の交差点になりやすいエリアです。

一方で「誰の担当でもない場所」になりやすく、清掃の抜けが生じます。

廊下・食堂・機能訓練室は手が触れる部分を優先する

廊下や階段の清掃は床の見た目に意識が向きがちですが、感染対策で優先すべきは手すりとエレベーターのボタンです。

特に手すりは、歩行が不安定な入居者が体重を預けながら手のひら全体で握る部位であり、接触の密度が高くなります。

上面だけでなく下面や支柱の付け根まで清拭の対象に含めます。

食堂ではテーブルと椅子を食事前に清拭し、食後は床まで清掃します。

機能訓練室では訓練器具のグリップやマット類が複数の利用者に連続して使われるため、使用後の清拭を清掃担当と職員のどちらが行うか明確にしておきましょう。

加湿器と空調|レジオネラ症の盲点

清掃マニュアルから抜け落ちやすいのが加湿器です。

加湿器内の水が汚染されていると、その汚染水のエアロゾルを原因としてレジオネラ症が発生する危険性があります。

厚生労働省のマニュアルは、タンク内の水の継続利用は避け、こまめに水の交換・清掃および乾燥を行うよう求めています。

家庭用加湿器のタンクの水は毎日完全に換えるため、「継ぎ足し」で運用している施設は見直しが必要です

建物内の設備に組み込まれた加湿装置は、使用期間中は1か月に1回以上点検し、少なくとも1年に1回以上の清掃を行います。

使用開始時と使用終了時にも水抜きと清掃を実施します。

 

においとリネンの衛生管理|清掃だけでは解決しない領域

「掃除はしているのに、においが取れない」という相談は、介護施設で非常に多く聞かれます。

オフィスや商業施設のにおいはカビ臭が主な原因ですが、介護施設は事情が異なります。

原因の切り分けを間違えると、消臭剤を置いても効果が出ません。

尿臭が残る施設と残らない施設の違い

介護施設のにおいの主因は、カビ臭ではなく尿由来のアンモニア臭です。

尿は液体であるため、床の表面ではなく隙間に入り込んで残ります。

発生源として多いのは、床材の目地、壁と床の境目にある巾木の裏、便器と床の接合部、ポータブルトイレのバケツの縁、そして飛沫が付着したカーテンです。

つまり、においが残る施設と残らない施設の差は清掃の回数ではなく「隙間に手が入っているか」です。

定期清掃で床の洗浄と目地の洗い出しを行い、巾木や便器周りを分解に近いレベルで清掃すると、においの元が物理的に減ります。

リネン・衣類・食器の消毒基準

居室の清掃だけを完璧にしても、寝具や衣類が汚染されていれば衛生水準は上がりません。

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対象 消毒方法
リネン・衣類 熱水洗濯機(80℃10分間)で処理し、洗浄後に乾燥させる。または次亜塩素酸ナトリウム(0.05〜0.1%)に浸漬した後、洗濯・乾燥する
食器 自動食器洗浄器(80℃10分間)で処理する。洗剤による洗浄と熱水処理で十分
まな板・ふきん 洗剤で十分に洗い、熱水消毒する。または次亜塩素酸ナトリウム(0.05〜0.1%)に浸漬した後、洗浄する
ドアノブ・便座 消毒用エタノールで清拭する
浴槽 手袋を着用し、洗剤で洗い、温水(熱水)で流して乾燥させる

ノロウイルス感染症が発生した際の洗濯は、次亜塩素酸ナトリウム液(0.05〜0.1%)に10分程度つけるか、85℃以上で1分間以上の熱湯消毒を行う方法が示されています。

家庭用洗濯機で80℃の熱水処理は困難なため、リネンや職員のユニフォームは熱水処理が可能な設備を備えた専門業者への委託が現実的です。

 

マニュアルを機能させるための運用設計

清掃マニュアルは、作成した時点では何も変わりません。

現場で使われ、記録が残り、担当者が入れ替わっても引き継がれる状態になって初めて意味を持ちます。

チェックリストに落とし込み、記録として残す

マニュアルは読み物であり、現場で使うのはチェックリストです。

必要な項目は、エリア名、清掃箇所、使用する用具と薬剤、頻度、実施時刻、担当者名、確認欄です。

特に浴室については厚生労働省のマニュアルが自主点検表の作成を明記しているため、残留塩素濃度の測定値を書き込む欄も設けます。

測定結果とレジオネラ属菌の検査結果は、いずれも3年間の保管が必要です。

研修で「なぜそうするのか」を共有する

手順書があっても、その根拠が共有されていなければ現場では省略されます。

「なぜ噴霧してはいけないのか」を理解している職員は、忙しいときでも手順を崩しません。

清掃マニュアルは感染対策の指針と一体で運用し、定期的な研修の教材として使うのが効果的です。

委託業者やボランティアにも同じルールを徹底する

厚生労働省のマニュアルは、清掃を担当しているボランティアや委託業者にも、清掃に関する注意事項を徹底するよう明記しています。

委託契約を結んだ時点で衛生管理が丸ごと業者側の責任になるわけではなく、どの手順を守ってほしいのかを伝える責任が施設側に残ります。

逆にいえば自施設のマニュアルが整っていれば、それがそのまま発注仕様書として機能し、「モップのゾーニングを守れるか」「感染症発生時の臨時対応が可能か」という観点で業者を選定できるようになります。

名鉄クリーニングの介護施設清掃|名古屋・愛知エリアの対応

名鉄クリーニングは愛知県全域を対応エリアとして、介護施設の清掃を承っています。

名古屋市内から郊外の施設まで、日常清掃・定期清掃・スポット清掃を組み合わせてご提案します。

多くご相談いただくのが尿臭・アンモニア臭の対策で、床材の目地や巾木、便器周りといった発生源になりやすい箇所を含めた清掃で改善を図ります。

作業時間についても、入居者の起床・食事・入浴・就寝といった生活リズムを崩さないよう、早朝や日中の空き時間を使ったシフト設計が可能です。

地域密着で運営しているため、感染症が発生した際の臨時清掃のご依頼にも機動的に動けます。

またクリーニング事業者でもあるため、施設のリネンや職員のユニフォームの洗濯・保管管理まで一括してお任せいただけます。

よくある質問

介護施設の清掃マニュアルについて、担当者の方からよくいただく質問をまとめました。

Q1. 居室の清掃頻度はどのくらいが適切ですか?

A:厚生労働省のマニュアルでは、各所を原則1日1回以上湿式清掃し、換気を行って乾燥させることが基本とされています。
床は1日1回以上、ドアノブやベッド柵といった高頻度接触面も1日1回以上を目安にしてください。
ただしこれは平常時の下限です。失禁を伴う下痢や嘔吐、咳・喀痰の多い入居者がいる場合は、回数を増やす判断が必要になります。

Q2. 清掃と消毒はどちらを優先すべきですか?

A:日常的には清掃が優先です。
厚生労働省のマニュアルは、消毒薬による消毒よりも目に見える埃や汚れを除去し、居心地の良い環境づくりを優先するとしています。
消毒薬を使うのは、血液・分泌物・嘔吐物・排泄物が付着した場合や感染症が発生した場合など、対象を限定した場面です。

Q3. 介護職員が清掃を兼務するのは問題がありますか?

A:法令上の禁止はありませんが、品質の維持という点で課題が生じやすい体制です。
浴室の残留塩素測定や年1回のレジオネラ属菌検査といった専門性の高い項目は、特に抜けやすくなります。
まずは清掃箇所と頻度を文書化し、自施設で担う範囲と外部に委託する範囲を切り分けることをおすすめします。

Q4. 感染症が発生したときの臨時清掃も依頼できますか?

A:対応可否と条件は業者によって異なるため、契約前に確認しておくべき項目です。
名鉄クリーニングでは愛知県全域を対応エリアとしており、感染症発生時の臨時清掃のご相談にも対応しています。ただし感染症の種類や現場の状況によって対応条件が変わるため、事前にご相談ください。
日常清掃の契約とあわせて緊急時の連絡経路と対応範囲を取り決めておくと、発生時に迷わず動けます。

Q5. 清掃マニュアルは自施設で作るべきですか、業者に任せてよいですか?

A:土台となる清掃箇所と頻度は、自施設で決めることをおすすめします。
間取りや入居者の状態、職員の体制は施設ごとに違うためです。
そのうえで清掃手順や薬剤の選定、定期清掃の周期設計といった実務部分は、清掃業者の知見を取り入れると精度が上がります。

まとめ

介護施設の清掃マニュアルづくりで最初に押さえるべきは、消毒薬を増やすことではなく、湿式清掃を基本に埃と汚れを確実に取り除く体制を作ることでした。

そのうえで高頻度接触面を優先し、清掃用具をゾーニングし、エリアごとの頻度を明文化する。

この3つが土台になります。

特に浴室には、残留塩素濃度0.2〜0.4mg/Lの毎日の測定、循環型浴槽の週1回以上の換水、年1回以上のレジオネラ属菌検査、記録の3年間保管という具体的な基準が定められています。

そしてマニュアルは、チェックリストと記録、研修、委託業者との共有を通じて初めて機能します。

自施設で骨組みを作り、専門的な部分は外部の力を借りる。

この組み合わせが、限られた人員で衛生水準を保つ現実的な答えになります。

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