
朝いちばんにオフィスへ入ったら、天井のエアコンの下だけ床が濡れていた。
そんな経験はないでしょうか。
冷房を本格的に使い始める時期になると、業務用エアコンの水漏れというご相談が一気に増えます。
原因として多いのは、結露水を外へ逃がすドレン系統(ドレンパン・ドレンホース・ドレン配管などの排水経路)の詰まりです。
ただし、部品の故障や配管の破損、設置状態、断熱不足が原因のこともあり、症状だけで断定することはできません。
本記事では、水漏れの原因と応急処置、清掃で改善するケースと修理が必要なケースの見分け方、そして夏前に済ませたい予防清掃を、清掃の現場目線で解説します。
業務用エアコンの水漏れ・ポタポタが起きる主な原因
業務用エアコンは、空気を冷やす部品である熱交換器の表面に結露水を発生させます。
この水はドレンパン(排水受け)に落ち、ドレンホースやドレン配管を通って屋外へ排出されます。
水漏れとは、この結露水が正常な排水ルートから外れて室内に出ている状態です。
主な原因は次の6つです。
ドレンホース・ドレン配管の詰まり
最も多い原因です。
配管内部には、ホコリと結露水、そこで繁殖した微生物が混ざったぬめり状の汚れが少しずつ堆積していきます。
これが管を塞ぐと、行き場を失った水がドレンパンからあふれ、吹出口や本体の隙間から落ちてきます。
厨房まわりは油分が加わるため、詰まりの進行が特に早い傾向があります。
ドレンパンの汚れ・ぬめりの堆積
ドレンパンや排水口に汚れが蓄積し、正常に排水できず、水位が上がって本体からあふれるパターンです。
この状態では、カビ臭やぬめりに由来する臭いを伴うことがあります。
臭いと水漏れが同時に出ているなら、まずドレンパンの汚れを疑ってください。
ただし下水のような臭いがする場合は、排水管の接続やドレントラップなど設備側の要因も考えられます。
ドレンポンプ(排水ポンプ)の不具合
多くの天井カセット型には、ドレンパンに溜まった水をくみ上げて排出するドレンポンプが組み込まれています。
一方、天井吊形や天井隠ぺい型などには、機種や設置方法によって自然勾配で排水するものもあります。
ポンプ内部に異物やぬめり状の汚れが入り込んだり、経年劣化で排水能力が落ちたりすると、ドレンパンの水位が上がって本体から水があふれます。
機種によっては水位を検知する安全装置が働き、エラー表示とともに運転が停止します。
異音やエラー停止を伴う場合は、清掃ではなく部品交換が必要な段階に入っている可能性があります。
室内機の傾き・据付不良
ドレン配管はごくわずかな下り勾配で水を流しています。
建物の経年変化や施工精度によってこの勾配が失われると、水が管の途中に溜まってあふれ出します。
設置から間もない機器で水漏れが起きている場合は、汚れよりも先に設置状態や配管の勾配を確認すべきケースです。
吹出口の結露・冷媒配管の断熱不足
厳密には漏れではなく、機器の外側についた水滴が落ちているパターンです。
湿度が高い状態で設定温度を下げすぎると、吹出口のパネルが冷えて空気中の水分が凝結します。
天井裏を通る冷媒配管の断熱材が劣化している場合も、そこで生じた結露水が天井板に染み、エアコンから離れた位置にシミをつくります。
熱交換器の凍結
フィルターや熱交換器の汚れによって風量が不足したり、冷媒系統に不具合が生じたりすると、熱交換器が凍結することがあります。
運転を止めた後に氷が一気に溶けると、ドレンパンの排水能力を超えた水が落ち、まとまった量の水漏れになります。
吹出口から冷たい風が出ているのに部屋が冷えない、といった症状が先行するのが特徴です。
汚れによる風量不足であれば清掃で改善しますが、冷媒不足が疑われる場合はメーカーや空調設備業者による点検が必要です。
水が出ている場所によって、疑うべき原因はある程度絞り込めます。
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| 水が出ている場所 | 想定される主な原因 | 緊急度 |
|---|---|---|
| 吹出口・ルーバーから | ドレン詰まり/ドレンパンの汚れ/吹出口の結露 | 高 |
| 本体の端・パネルの隙間から | ドレンパンからのあふれ/室内機の傾き | 高 |
| 天井の一部にシミが広がる | 冷媒配管の断熱不足/ドレン配管の破損 | 高 |
| 室外機まわりだけが濡れている | 正常な排水(暖房時のドレン水など) | 低 |
見落とされやすいのが3行目の「天井の一部にシミが広がる」ケースです。
本体から離れた位置にシミが出ている場合、原因は天井裏の配管側にあり、本体を清掃しても解決しません。
天井材の落下や照明への浸水につながる恐れもあるため、天井には触れず管理会社へ連絡してください。
水漏れを見つけたら|最初の5分でやる応急処置
水漏れは、最初の数分でどこまで手を打てるかで被害の大きさが変わります。
水を止めることよりも先に、水がかかると困るものを守ってください。
以下の順番で対応すれば、業者が到着するまでの被害を最小限に抑えられます。
①運転を停止し、真下の機器・書類を退避させる
まずリモコンで運転を止めます。
運転を続ける限り結露水は発生し続けるため、止めることが最も確実な減災策です。
そのうえで、真下のパソコン、複合機、書類、商品などを、濡れていないことを確認したうえで安全な場所へ移動させます。
電源タップや配線がすでに濡れている場合は、素手で触れないでください。
安全に操作できる分電盤があれば該当回路のブレーカーを切り、判断がつかない場合は管理会社や設備業者へ連絡します。
②水を受ける・吸わせる
バケツを置く際は、底にタオルを一枚敷いておくと水はねを防げます。
範囲が広いときは、養生シートの上に吸水シートを重ねる方法が有効です。
床材がタイルカーペットの場合、表面が乾いても下地に水が残り、あとからカビや臭いの発生源になります。
取り外せるタイプで管理会社の許可を得られるなら、濡れた部分を外して乾かしてください。
接着されている床材や、OAフロア内部まで水が入った可能性がある場合は、無理に剥がさず管理会社へ連絡します。
③写真で記録し、管理会社・ビルオーナーへ連絡する
賃貸オフィスやテナントビルでは、設備の管理区分が契約によって異なります。
エアコンが貸主の設備であれば、修理の手配や費用負担が貸主側になることも珍しくありません。
連絡前に、水漏れ箇所と濡れた範囲、時刻がわかる写真を撮っておくと、その後の原因調査がスムーズに進みます。
④避けるべき対応
良かれと思ってやったことが状況を悪化させることもあります。
次の4点は避けてください。
- ・運転を続けて様子を見る:
結露水は運転中ずっと発生するため、時間が経つほど水漏れの量が増えて被害範囲が広がります。 - ・パネルを開けて内部を分解する:
業務用機は重量があり天井からの落下リスクがあるほか、メーカー保証の対象外になる場合があります。 - ・家庭用・事務用の掃除機でドレン配管を吸う:
汚水を吸い込んで掃除機が故障したり、配管や排水部品に負荷をかけたりする恐れがあります。 - ・市販の洗浄スプレーを吹き込む:
溶けた汚れが配管の奥へ流れて詰まりを悪化させたり、電装部にかかって故障を招いたりします。
市販スプレーの使用可否は、以下記事でも詳しく解説しています。
清掃で改善する水漏れ・修理が必要な水漏れの見分け方
相談先は、汚れや詰まりが原因なのか、部品の故障や設置不良が原因なのかによって変わります。
ここを混同すると、二度手間と余計な費用が発生します。
判断の目安は次のとおりです。
※横にスクロールできます
| 症状 | 主な原因 | 対応区分 |
|---|---|---|
| 吹出口から水が垂れる/カビ臭を伴う | ドレン系統の汚れ・詰まり | 分解洗浄・ドレン清掃 |
| エラー表示が出る /運転が繰り返し止まる |
ドレンポンプの不具合 | 部品交換(修理) |
| 設置から日が浅いのに漏れる | 室内機の傾き・配管勾配不良 | 据付のやり直し |
| 本体から離れた天井にシミ | 冷媒配管の断熱不足・配管破損 | 断熱材の巻き直し・配管補修 |
| 冷えが弱い/吹出口に霜や氷が見える | 熱交換器の凍結 (汚れ・冷媒系統) |
洗浄、または設備業者の点検 |
汚れやカビ臭を伴う場合はドレンパン・排水経路の清掃で改善する可能性があり、エラー表示・異音・繰り返す運転停止がある場合は部品故障や電気系統の不具合も考えられる、というのが判断の一つの目安です。
ただし、カビ臭があってもポンプの不具合が併発していることはありますし、ポンプ周辺の汚れが動作不良を招いている場合は清掃で改善することもあります。
症状だけでは断定できないため、どちらが必要かを含めて現地で確認できる業者に相談するのが確実です。
故障か汚れかの見極め方は、以下記事で整理しています。
夏前にやるべき予防清掃|ベストタイミングは5〜6月
水漏れは、起きてから直すより起こさないほうが費用も手間も大きく抑えられます。
業務の中断や、床材・天井材・機器への被害を防ぎやすくなるためです。
そして予防清掃は、冷房を本格的に使い始める前に行うのが効果的です。
冷房の本格稼働前にドレン点検を行う理由
冷房の使用が増えると、熱交換器で発生する結露水の量も増えます。
ドレンパンや排水配管に汚れが蓄積して排水経路が狭くなっていると、排水が追いつかず、水漏れとして表面化しやすくなります。
つまり水漏れの多くは、前シーズンまでに蓄積した汚れが冷房の本格稼働によって顕在化する現象です。
冷房が本格化する前の5〜6月に排水経路を点検・清掃し、水が正常に流れることを確認しておくと、予防につながります。
法令で定められたドレンパンの点検頻度
ドレンパンの管理は、法令でも位置づけられています。
法令上は「排水受け」と表記されます。
建築物衛生法の対象となる特定建築物では、空気調和設備内に設けられた排水受けについて、使用開始時および使用期間中は1か月以内ごとに1回、汚れと閉塞の状況を点検し、必要に応じて清掃等を行うことが定められています。
特定建築物とは、延べ面積3,000平方メートル以上の事務所・店舗・学校などを指します。
さらに、労働安全衛生法にもとづく事務所衛生基準規則でも、空気調和設備を設けている事務所に対して同じ内容の点検が求められています。
特定建築物に該当しない中小規模のオフィスでも、求められる管理の考え方は変わりません。
ただし、ここでいう空気調和設備には法令上の定義があり、建物内のすべての業務用エアコンが一律に対象となるわけではありません。
対象設備の判断は、建築物環境衛生管理技術者や設備管理会社にご確認ください。
施設タイプ別の清掃頻度の目安
なお、上記の法令上の点検と、業者による分解洗浄は別のものです。
分解洗浄の頻度に法令上の一律の基準はなく、機種・稼働時間・汚れ方によって変わります。
以下は一般的な管理の目安です。
※横にスクロールできます
| 施設タイプ | 分解洗浄の目安 | 汚れやすい要因 |
|---|---|---|
| 一般オフィス | 1〜2年に1回 | ホコリ・紙粉が中心。稼働は日中のみ |
| 飲食店の厨房・客席 | 半年〜1年に1回 | 油煙が付着し、ドレンの詰まりが早い |
| クリニック・介護施設 | 1年に1回 | 稼働時間が長く、休止期間が短い |
| 小売店・アパレル | 1年に1回 | 繊維ホコリが熱交換器に付着しやすい |
飲食店の厨房で推奨される間隔が短いのは、油煙に含まれる油分がホコリやぬめり状の汚れと混ざり、粘着性の高い堆積物になりやすいためです。
頻度の決め方は以下記事で詳しく解説しています。
名鉄クリーニングの業務用エアコン清掃|名古屋・愛知エリアの対応
名鉄クリーニングでは、愛知県全域を対応エリアとして法人施設の業務用エアコン清掃を承っています。
名古屋市内の栄・伏見・名駅周辺のオフィスビルから郊外の店舗・施設まで対応しています。
ドレンパン・ドレン配管まで含めた分解洗浄
水漏れ対策で重要なのは、フィルターや熱交換器だけでなく、水の通り道であるドレンパンとドレン配管まで洗浄することです。
表面を拭くだけでは、詰まりの原因となる堆積物は取り除けません。
天井カセット・天井埋込スリット・天井隠ぺい型に対応
天井カセット型、天井埋込スリット型、天井隠ぺい型など、構造の異なる機種に対応しています。
ダイキン製の一部機種のように分解手順が特殊なものもあるため、現地で状態を確認したうえでご提案します。
水漏れは、対応が遅れるほど被害が広がるトラブルです。
「清掃で改善するのか、修理が必要なのか」という段階からのご相談も歓迎しています。
よくある質問(FAQ)
最後に、水漏れのご相談でよくいただく質問をまとめました。
Q1. 水漏れしたまま運転を続けても大丈夫ですか?
A:運転は止めてください。
冷房を続ける限り結露水は発生し続けるため、水漏れの量が増えて被害が広がります。
ドレンポンプの不具合が原因の場合は、運転継続で電装部が濡れ、故障が拡大する恐れもあります。
Q2. ドレン配管の詰まりは掃除機で吸えば直りますか?
A:家庭用・事務用の掃除機での吸引は避けてください。
汚水を吸い込んで掃除機が故障したり、配管や排水部品に負荷をかけたりする恐れがあります。
排水経路の吸引や洗浄は、機種の構造を確認できる専門業者にご依頼ください。
Q3. 水漏れの原因調査だけでも依頼できますか?
A:可能です。
どこから水が出ているか、汚れが原因か部品の不具合かを現地で確認したうえで、必要な作業をご提案します。
清掃だけでは改善が難しいと考えられる場合は、メーカーや空調設備業者による点検が必要な旨をご案内します。
Q4. 賃貸オフィスの水漏れ、修理費用は誰が負担しますか?
A:賃貸借契約の内容によって異なります。
エアコンが貸主の設備(建物に付帯する設備)であれば、貸主側が費用を負担するケースが一般的です。
一方、借主が後から設置した機器や、清掃を怠ったことによる詰まりは借主負担となる場合もあるため、まずは契約書の設備に関する条項を確認し、管理会社にご相談ください。
Q5. 営業中・執務中でも点検や清掃はできますか?
A:機種と作業範囲によります。
ドレン周りの点検であれば短時間で済むことが多く、フロアを止めずに対応できる場合があります。
分解洗浄は養生と乾燥の時間が必要になるため、営業時間外や休業日での作業をご提案することが一般的です。
まとめ|原因の切り分けと夏前の予防清掃がカギ
業務用エアコンの水漏れ・ポタポタは、ドレン系統の汚れによる排水不良が原因となるケースが多く見られます。
発見したらまず運転を止め、下にあるものを退避させ、写真で記録したうえで管理会社と業者へ連絡してください。
汚れやカビ臭を伴う場合は清掃、エラー表示や異音を伴う場合は修理・点検、という目安を押さえておくと、相談先を間違えずに済みます。
水漏れは、冷房シーズン前に排水経路を点検・清掃しておくことで防ぎやすくなるトラブルです。
冷房が本格化する前に、点検と清掃の予定を組んでおきましょう。

